大黒様はご存じですか?
恵比寿様との違いは何か?外見の特徴や識別方法は?
大黒天は七福神のなかでも特に注目される存在です。
今回は大黒様の本質や由来を調査し、読み方や恵比寿様との違いについても詳しく解説します。
はっきりとした外見の特徴もあるため、七福神の中で弁財天以外を見分けるのが難しいと感じている人にとっては必見です。
大黒様、あるいは大黒天様、大黒天など呼ばれています。恵比寿様も関西の地域によっては「えべっさん」と親しみを込めて呼ばれています。
大黒天様(大黒天)の由来と意味
大黒天とは、ヒンドゥー教のシヴァ神の別名であるマハーカーラを日本神話の大国主神と結びつけて生まれた神のことです。
シヴァ神は、破壊と再生を司るヒンドゥー教の3柱の神々(ブラフマー、ヴィシュヌと並ぶ)の一つであり、その化身であるマハーカーラは「大いなる存在」または「偉大なる存在」を意味する「マハー」と、「時」や「黒」を表す「カーラー」からなります。
このため、密教やチベット仏教ではマハーカーラが破壊と再生の神、守護神として崇拝されました。
大黒天と大国主命
大黒天と日本神話の大国主神と組み合わさることで、大黒天として知られるようになりました。
大国主神は農業、商業、医療の神であると同時に、八十神を鎮める祟り神や国を興す創造神の一面も持っています。
大黒天と大国主神が結びつくことで、破壊と豊穣の神として崇められ、豊穣の神としての性格が強調され、七福神の一柱となりました。
また、大国主神は因幡の白兎の伝説に登場し、八十神たちの荷物を入れた大きな袋を持っていたエピソードがあります。
このエピソードから大黒天は大きな袋を背負う姿で象徴されています。
また、大国主神がネズミを助けた逸話から、ネズミが大黒天の使者とされています。
大黒天様(大黒天)と七福神
大黒天は平安時代に日本に導入され、最澄が比叡山で崇拝したことが始まりとされています。
彼の登場は、台所の神として信仰されるようになり、日本の土着信仰である恵比寿信仰と結びつき、両者がセットで崇拝されるようになったとされます。
これが七福神の起源です。
通常、七福神は特定の順序で登場するとされており、大黒天様か恵比寿様が最初に宝船に乗せられることが多いです。
大黒様の読み方
大黒様(だいこくさま)、大黒天様(だいこくてんさま)、大黒天の正しい発音は「だいこくてん」です。ちなみに大国主命の大国を音読みにすると(だいこく)です。
漢字変換でも確実に表示されるため、問題ありません。
注意すべき点は、「大黒天」と入力すると「大黒点」と表示されることがあるということです。
「大黒点」では太陽の黒い斑点を指すため、意味が異なりますので、注意が必要です。
ちなみに、大国主として結びついた神様は「おおくにぬし」と読まれます。
大黒天様(大黒天)のご利益【ごりやく】と見分け方
大黒天はシヴァ神と結びついており、かつては破壊や再生、戦いの神としても崇拝されていましたが、現在では主に財産や豊穣の神として知られています。
他にも医学、夫婦和合、立身出世、商売繁盛、縁結びのご利益もあると言われています。
七福神はさまざまな恩恵をもたらしてくれるため、一つの神社で祀られている場合、多岐にわたるご利益が期待できるでしょう。
個人的な見解として、七福神における武神の役割は毘沙門天が中心であり、戦国時代の上杉謙信が信奉していたことも大きな要因となっています。
弁財天もかつては武神としての一面があったものの、七福神としての登場時には控えめな存在となっています。
真剣に勝負事の運を求める場合は、大黒様ではなく、同じく七福神の中でも武神として知られる毘沙門天に祈るのが良いでしょう。
大黒様と恵比寿様の違いは?
神話にあまり詳しくない方々は、見た目も含めて恵比寿や大黒様を混同してしまうことがよくあります。
これら二柱は共に七福神の代表的な神様であり、仏像でも共にセットで表現されていることもありますが、同一の存在ではないのです。
大黒天は先述したように、シヴァ神と大国主が融合して生まれた神様であり、一方で恵比寿様は伊邪那岐命・伊邪那美命の間に生まれたとされるか、あるいは大国主の子供であるとする説もあります。
恵比寿様は商売繁盛や漁業の神様として信仰を受けていますが、親子のつながりからくる特徴として、彼らはセットで祀られることがよくあります。
見た目が似ているため、恵比寿様と大黒天が混同されることがありますが、恵比寿様は主に漁業の神様としての性格が強調されています。彼の基本的な姿は釣り竿や鯛を抱えたものです。
一方で大黒天は大きな袋を背負い、打出小槌を持っている姿が一般的です。これらの差異により、実は見た目においても大黒天と恵比寿様ははっきりと異なる存在です。
見た目の特徴や見分け方は?
大黒天の見た目の特徴は、主に大きな袋を背負っていることと、打出小槌を持っていることです。
頭巾をかぶっている姿も一般的であり、これらの3点が揃っている場合、それが大黒天であると判定できます。
デフォルメ化された七福神でも、これらの特徴のうちどれか一つは必ず表れているため、これら3つを覚えておくと良いでしょう。
大きな袋については先ほど説明したように、日本神話で鼠を袋に入れて助けたことが由来ですが、打出小槌についてはその経緯が不明です。
一寸法師のエピソードにも登場する打出小槌ですが、大黒天がこれを持つ理由については詳細がわかりません。
日本神話の大国主が関与している可能性はありますが、大国主と打出小槌が関連する伝説は見当たらないため、そのつながりは謎のままです。
おそらく、大国主と打出小槌が結びついた民間伝承や神話、または現代日本で伝わっていない風習が存在した可能性がありますが、現在ではその結びつきを解明するのは難しいでしょう。
大黒様の真言(しんごん)
大黒天に関連する特別な言葉は「オン・マカキャロヤ・ソワカ」と「オン・マカキャラヤ・ソワカ」です。
大黒様を崇拝する神社や寺院では、これらの特別な言葉を唱えましょう。
どこの寺院が祀っているのか?
大黒天は古くから信仰されており、そのため祀られている寺院は非常に多く存在します。
代表的な寺院としては、大阪の大黒寺や京都伏見にある大黒寺が挙げられます。
これらの寺院の名前からも、大黒天が関連していることが一目瞭然です。
他にも、東京都の大円寺や浅草寺、神田明神も大黒天を祀っています。
京都では妙円寺や圓徳院でも大黒天が祀られているようです。
また、大阪の四天王寺にも存在するとされています。
調査すると、関東や関西、そして愛知県で多く見られる傾向があり、おそらくこれらの地域で大黒天が広く信仰されていたのでしょう。
大黒天様(大黒天)のまとめ
いかがでしたか。
今回は大黒天について詳細に説明しました。
大黒天は非常に古くから崇拝されており、広く知られている神様です。
ただし、この神様がヒンドゥー教のシヴァ神に由来するという事実は、多くの人には知られていないかもしれません。
シヴァ神も広く知られていますが、その破壊神としての一面が強調されがちで、そのため七福神の大黒天に結びつけられないこともあります。
シヴァ神と大黒天の関連性を知るだけでも、興味深い小ネタとして活用できる情報かもしれません。
ポイント
- 大黒様(大黒天)とは何者?
大黒天はヒンドゥー教のシヴァ神の一つの姿であるマハーカーラと、日本神話の大国主神が融合して生まれた神様です。マハーカーラは「大いなる存在」や「黒」を意味し、大黒天は豊穣の神として信仰されるようになりました。 - 大黒様(大黒天)の特徴と見分け方
大黒天は大きな袋と打出の小槌を持ち、頭巾をかぶった姿で描かれることが多いです。この袋と小槌は、彼の豊穣と繁栄をもたらす力を象徴しています。また、恵比寿と共に七福神の一部として広く信仰されています。 - 大黒様(大黒天)のご利益(ごりやく)
大黒天は財産や豊穣、医学、夫婦和合、立身出世、商売繁盛、縁結びの神としてのご利益があるとされ、多岐にわたる恩恵をもたらす神様です。
大黒天は日本全国の多くの神社や寺院で崇拝されており、特に大阪の大黒寺や京都伏見の大黒寺などが有名です。
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