福禄寿と寿老人の違いについて、見た目の特徴や識別方法を紹介します。
福禄寿は七福神のなかでもあまり知られておらず、そのご利益や外見について知らない人もいます。
この記事では福禄寿の意味や起源、読み方について説明し、どのようなご利益があるか、外見の特徴や見分け方、真言についても解説します。
また、福禄寿を祀っている神社も紹介しますので、七福神めぐりに興味がある方はぜひご覧ください。
- 福禄寿とは? 読み方 ご利益や逸話
- 福禄寿の特徴と見分け方 真言 寿老人と福禄寿の違い
福禄寿とはどんな神様?
最初に福禄寿という神様がどのような神様で、どのようなご利益があるのかを紹介します。
福禄寿の読み方
福禄寿の読み方は「ふくろくじゅ」です。
時折、「ふくろくじん」とも呼ばれることもあるようですが、一般的には単語帳などで「ふくろくじゅ」の表記が主流です。
これは単語登録の有無が知名度を示す小さな指標となりますが、七福神は一般的に広く知られている神々であるため、ほとんどの単語帳に収録されているようです。
福禄寿
福禄寿は「人望と富貴栄達」の神として知られており、中国の道教に起源を持つ仙人神の一つです。
福禄寿は、道教において非常に特異な存在であり、3つの重要な願いを象徴化した存在とされています。
「福」は「幸福であり、子孫に恵まれること」を、「禄」は「封禄であり、財産に関連すること」を、「寿」は「長寿であり、健康な寿命をもたらすこと」を意味します。
福禄寿は道教において福星、禄星、寿星の三星を神格化した、いわば三位一体の神として崇拝されています。
宋代の1063年、北宋仁宗皇帝の時代に登場したとされ、その逸話では南極星の化身とされています。
一説によれば、中国の宋代に存在した仙人とも関連があり、南極星が人となったという信仰も存在します。
福禄寿は中国で崇拝される一方で、日本でも室町時代になると積極的に受け入れられました。
当時、中国の知識や文化に憧れる知識人たちが多く、福禄寿や寿老人が注目を集めた背景があります。
ただし、福禄寿と同じく南極老人星の化身である寿老人としばしば混同され、七福神に組み込まれた際には寿老人が福禄寿に吸収され、吉祥天やお多福、福助が加えられることもありました。
昔の人々は福禄寿と寿老人を混同することがよくあり、現代でもイラストなどで区別が難しいことがあります。
日本に伝わったものの、爆発的な広がりを見せないため、七福神のなかで相対的にマイナーな存在として扱われ、寿老人と共に名前があまり知られていない神となっています。
福禄寿の伝説や逸話
北宋の仁宗皇帝の時代に現れた福禄寿の逸話をご紹介します。
この老人は都の開封で占い師として活動し、占いで得たお金をすべてお酒につぎ込む大酒飲みだったとされています。
仁宗皇帝が老人を宮廷に招き、心ゆくまで酒を楽しませたところ、老人は「黄河が澄むのをたびたび見た」と答えました。
黄河が千年に一度しか澄まないとされているため、この老人は千年以上生きていることがわかりました。
老人は突然姿を消し、その後、天文台の長から「寿星(南極老人星)が帝座の近くにあったのに忽然と消えました」と報告があり、仁宗皇帝は老人が福禄寿の化身であったことを知りました。
寿老人の逸話
同様に、北宋時代には身長90cmの小柄な老人が現れたという逸話があります。
この老人も占いを行い、得たお金をすぐにお酒に使ってしまう大酒飲みでした。
老人は「南極老人星の化身」であり、「寿命を益する聖人」と称していました。
福禄寿のご利益
福禄寿は以下のご利益をもたらすとされています。
- 財運招福:財運を引き寄せ、富をもたらします。
- 子孫繁栄:子孫に恵まれ、家庭が繁栄することを助けます。
- 延命長寿:健康で長生きすることを祈願します。
- 立身出世:社会的な成功や出世を助けます。
- 富貴栄達:富と栄達をもたらします。
- 招徳人望:人望を集め、良い縁を引き寄せます。
福禄寿の外見の特徴と見分け方
福禄寿は大きな頭、長いあごひげ、そして大きな福耳といった特徴を持っています。
ただし、これらは寿老人と同様なので、慎重に注意しましょう。
さらに、経巻を巻いた杖と宝珠も手にしており、これらも覚えておくと良いでしょう。
宝珠は仏教において願いをかなえる大切なものであり、七福神になる要因の一つとなっています。
寿老人との見分け方としては、寿老人が瓢箪を持ち、鹿を連れていることを覚えると正解です。
恵比寿様は鯛と釣り竿で判別でき、大黒天は大きな袋と打出小槌の存在で分かります。
毘沙門天は武神の風格で鎧を身に纏っているため判別可能で、弁才天は女性であるという特徴だけで分かります。
布袋様は大きなお腹と袋、そして軍配が存在することで判別できます。
これらの特徴を理解することで、福禄寿や寿老人が他の七福神と比較してどれであるかを消去法で判断することができます。
福禄寿と寿老人の違いについて
福禄寿と寿老人は、どちらも南極老人星の化身であるという共通点からか、以前は一緒くたにされることがありました。
現在では、七福神として福禄寿と寿老人がはっきりと存在していますが、それでも見分けが難しいと感じる方が多くなっています。
実際に調査しても、区別が難しいことが分かっています。
福禄寿は巻物を括りつけた杖と宝寿を手に持っており、一方の寿老人は手に巻物を括りつけた杖と団扇や桃を持っています。
両者とも長い頭、顎髭、大きな耳たぶという特徴がありますが、これらの特徴はどちらも共通しているため、区別が難しいのです。
したがって、デフォルトで描かれた寿老人と福禄寿を並べると、どちらがどちらかが分からないことがよくあります。
区別を意識して行いたい場合は、福禄寿は鶴を描いていることが多いので、鶴を描くと良いでしょう。
寿老人は鹿を従えているため、こちらは鹿を描くのが正解です。
他にも寿老人は不死の霊薬を含んでいる瓢箪を持ち歩いているという逸話もありますので、瓢箪を描くのも良いでしょう。
また、福禄寿は帽子がないことが多く、一方で寿老人は帽子をかぶっていることが一般的です。
帽子の有無でも判断することができますが、絶対ではないため注意が必要です。
どちらも見分けが難しい存在ですので、従えている動物や持ち物を確認すると良いでしょう。
福禄寿様のご真言
福禄寿の真言は「オン・マカシリ・ソワカ」です。
他の七福神の真言も以下の通りです。
大黒天のご真言:オン・マカキャラヤ・ソワカ
恵比寿のご真言:オン・インダラヤ・ソワカ
弁財天のご真言:オン・ソラソバエテイエイ・ソワカ
毘沙門天のご真言:オン・ベイシラ・マンダヤ・ソワカ
寿老人のご真言:オン。バサラ・ユセイ・ソワカ
福禄寿のご真言:オン・マカシリ・ソワカ
布袋のご真言:オン・マイタレイヤ・ソワカ
七福神の真言は、七福神巡りをする際に様々な場面で活用されることがあります。
できるだけ全てを覚えておくこともおすすめです。
難しさを感じる場合は、スマートフォンやiPhoneにメモしておき、お参りの前に確認するのも良いでしょう。
福禄寿を祀っている場所は?
福禄寿が祀られている寺院や神社は様々です。
有名な場所としては、曹洞宗の万福寺が挙げられます。
また、長野県長野市にある秋葉神社でも福禄寿が祀られていると言われています。
日向の国で七福神参りを希望する場合は、宮崎県の智浄寺が該当し、宮崎県延岡市内を訪れる場合は如意輪寺が該当します。
他にも福禄寿を祀る寺院や神社は多く存在します。
例えば、佐賀県の天福寺や大分県の圓通寺が挙げられます。
東京でも、墨田区の向島百花園、江東区の心行寺、中央区の小網神社、および港区の天祖神社が福禄寿を祀っている場所として知られています。
これらの場所を検索すると、自分が訪れたい場所で福禄寿を祀っている場所が見つかるでしょう。
七福神巡りや七福神参りといった言葉で検索すると、さまざまな場所が見つかるでしょう。
福禄寿様のまとめ
これまでの内容、いかがでしたでしょうか。
今回は福禄寿という七福神の一柱に焦点を当て、詳しく説明しました。
福禄寿はややマイナーな存在であり、寿老人との区別が難しいとの意見もあります。
また、地域によっては福禄寿が七福神から除外されているという話もありますので、地域ごとの七福神の構成も確認してみると興味深くなるでしょう。
福禄寿は「幸福」「財運」「長寿」を象徴する神様で、その起源は中国の道教にあります。
日本では室町時代に広まりましたが、寿老人と混同されることが多く、七福神の中でも比較的知られていない存在です。
福禄寿の見分け方としては、大きな頭と長いあごひげ、福耳を持ち、巻物を巻いた杖と宝珠を手にしている点が挙げられます。
寿老人との違いは、寿老人が瓢箪を持ち鹿を従えていること、帽子をかぶっていることなどです。
福禄寿のご利益には財運招福、子孫繁栄、延命長寿、立身出世、富貴栄達、招徳人望などがあり、その真言は「オン・マカシリ・ソワカ」です。
また、日本各地には福禄寿を祀る寺院や神社が存在し、七福神巡りをする際に訪れることができます。
福禄寿についての知識を深めることで、七福神巡りがより一層楽しくなり、ご利益を得る手助けになるでしょう。
ぜひ、福禄寿を祀る神社や寺院を訪れてみてください。
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